福岡市博多区 福嶋クリニックの産婦人科のご案内

博多区吉塚の福嶋クリニックです。当院のホームページをご覧いただきありがとうございます。
どんな時に婦人科、産婦人科を受診してよいのかわかりにくいという方もおられるのではないでしょうか。さて、このページでは、一般に産婦人科で扱うお体の不調や病気でみられることの多い症状と、関連する病気の特徴や検査、治療などについてご紹介します。

1,生理(月経)不順、生理の量が多い、長く続く

そもそも「生理不順」ってどこからが不順?と思われる方も多いと思います。生理の周期とは生理がはじまってから次の生理が始まるまでの日数をいいます。このばらつきが大きい(一週間以上ばらつく)と生理不順、周期が極端に長い、短いもの(25-38日が正常です)をそれぞれ稀発月経、頻発月経といいます。生理の量も多いのかどうかよくわからないとおっしゃる方も多いですが、一般的には健康診断の血液検査で貧血といわれたり、昼でも夜用の生理用品が必要になったり、生理の時にレバーのようなかたまりがみられたり、というような時は、量が多い(過多月経)ことがあります。また出血が1週間でおわらない場合には、「長い」(過長月経)、逆に1-2日で終わってしまうと「短い」(過短月経)と考えていただいてよいと思います。

生理とは単に月1回出血がおこっているだけではなく、脳の間脳下垂体と卵巣、子宮の間でホルモンによる調節が行われておこる複雑な生理現象です。いわゆる「ストレス」で生理がおかしくなるというのも、この調節が関与しています。生理不順は卵巣と間脳下垂体系の調節の異常や卵巣自体の問題でおこる排卵の障害によることが多いとされています。周期が長くなったり、不規則になったり、月経量も少ないことが多いのですが、なかにはおおむね正常に生理がきているようにみえる場合もあります。

生理がこない(無月経)状態が長期間続くと、子宮体がんのリスクが上昇することがあるので出血をおこしたりするなど何らかの治療が必要になります。不順の程度や出血のご様子などで、どの程度生活に支障がきているか、現在妊娠のご希望があるかなどによって治療の目標、治療方法は異なります。一般的には排卵や生理をコントロールするには、ホルモン剤を用います。低用量ピル(いわゆる避妊ピル)を使ったり、漢方薬を併用したりすることもあります。旅行や試験などで生理をずらすなど一時的な月経移動、月経調節を行うときにもホルモン剤(主に中用量ピル)を使用します。

子宮筋腫や子宮腺筋症は、生理の時の出血が多くなったり、長くだらだら続いたりする原因となることがあります。生理痛が強くなることもあります。貧血になったり、昼でも夜用の生理用品を頻繁に交換したりしないといけないなど、生活に支障をきたすような場合には治療が必要です。

また閉経(生理がおわること)の数年前からは、生理が不規則になったり、生理の量が多くなったり少なくなったりと変化がおこることもあります。生理不順と思っていても、このような不正出血の陰には「がん」が隠れていたりすることもありますので、注意が必要です。

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2,したばら(下腹部)の痛みや生理痛で困っている。

婦人科で取り扱う病気に関連した痛みは下腹部、や腰におこることが多いです。生理と一定の関連をもつ(生理のきまった時期に)痛みがある場合も、婦人科的な原因をもつことが多くあります。
代表的なものはいわゆる生理痛です。生理の時に子宮が収縮するのは、生理の出血を止めるための体のしくみのひとつですが、この痛みが強すぎて生活に差し支えるような状態を月経困難症といいます。
子宮内膜症や子宮腺筋症があると、生理痛が強くなりやすいといわれています。治療としては、対症療法として痛み止めを使ったり、閉経と同じような状態をつくるような薬物を使用したり、低用量ピルを用いたり、また漢方薬を併用したりします。生理と生理の中間に左右のどちらかの下腹部に排卵に関連した痛みがみられることもあります。排卵した後からお腹の中に出血がおこり、痛みが続くようなこともあります。排卵を正確に自覚するのは難しいので、不順の方はもちろん生理が順調な方でも基礎体温をつけておかれると、痛みと生理の関連がわかりやすくなります。
クラミジアなどの細菌などの感染により、卵巣や卵管に炎症が起きる場合もあります。この場合は痛みと生理の時期とあまり関連がないこともあります。おりものの異常などを伴う場合もあります。クラミジアは女性では無症状のことも多いので、気がつかないうちにパートナーも感染するような場合もあります。

卵巣はお腹のなかで完全に固定されているわけではありませんので、卵巣のう腫(卵巣に良性腫瘍ができている状態)がねじれて非常に強い痛みがおきることもあります。
女性でお腹が痛いというときには、内科的な(腸などの痛み)ものか婦人科的なものかわかりにくいことも多いと思います。当院は、内科、婦人科がありそれぞれの専門医が診療を行っていますので、どちらの科にいってよいかわからないときなどにも対応できることが多いと思います。

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3,生理以外の出血(不正出血)がある。

生理以外に性器出血がみられることがあります。これを不正(性器)出血といいますが、生理以外の出血なのかそれとも生理がおかしくなっているのか、ご自分ではわかりにくいことも少なくないと思います。
不正出血があった場合に一番注意しないといけないのは、がん(悪性腫瘍)です。代表的なのは子宮頸がん、子宮体がんです。子宮頸がんはがん検診で早期に検出できることが多く、また早期にみつかれば妊孕性(妊娠する可能性)を残して治療することができる場合もあります。がん検診はかならずお受けください。
がん検診で異常があった場合にはコルポスコープといって、子宮の出口を拡大して観察する検査や、病変とおもわれるところを一部かじりとって顕微鏡で見る検査、また子宮頸がんと関連するといわれるパピローマウイルスというウイルスの検査が必要になることもあります。
一般的な子宮がん検診は、頸がんの検診のことをいいます。閉経前後に不正出血が見られた場合には、体がんの検査も必要になることがあります。
また、妊娠に伴う症状として不正出血がみられることもあります。特にご自分で妊娠しているつもりがない方でも、おかしな出血があったときはご注意いただくのがよいと思います。

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4,おりもの、外陰のかゆみ、外陰部の違和感、排尿(おしっこ)の調子が悪い

これらは不愉快で生活に支障をきたしやすい症状の一つだと思います。おりものは病的なものではないこともありますが、カンジダなどの真菌(カビ)や細菌が原因で腟や外陰部に炎症をおこしていることも多々あります。いわゆる腟炎、外陰炎といわれる状態です。腟内を洗い流したり、カビや細菌に作用する薬を使ったりすることで治療が可能です。
また、おりもの自体は異常でなくても、外陰部のかぶれや湿疹を引き起こしていることもあります。ご自分で治療するのが難しいところでもあり、治療により症状軽減を実感していただきやすいことも多いように思いますので、お困りであればすぐに受診されることをおすすめします。
痛みの項目でもでてきましたが、クラミジアや淋菌の感染でも痛みはなくてもおりものとして自覚されることもありますので、普段とちがうようなおりものが続いた場合、あるいはおりものの変化にともなって下腹の痛みは不快感があるような場合には、受診されることをおすすめします。

子宮や膀胱、直腸を支える腟の壁などがゆるんで、外側にでてきていることもあります。ご自分でさわってみて何か触るなどでお気づきになる方もおられます。下着ですれて出血したり、炎症をおこしたりすることもあります。
腟の壁の角度は、排尿の調子を保つのに大事な働きをしていますので、ここが緩むと、尿の出が悪くなる、残尿感がある、などの症状がみられることもあります。
治療としては手術が行われる場合もありますが、軽度のものはペッサリーとよばれるリングをいれて支えることで治療できることも少なくありません。

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5,更年期症状

生理が終わる51歳前後に女性ホルモンの減少に伴っておこる諸症状を更年期症状といいます。更年期症状は多彩です。代表的なものは、めまい・ふらつき・耳鳴り、体がだるい(倦怠感)・疲れやすい、体がむくむ、頭痛や頭が重い感じ、冷えやのぼせ、ほてり(顔が急に赤くなり熱く感じる)、肩こり、腰痛、手足のしびれや違和感に加えて、精神的にもイライラや意欲減退などもみられるかたがおられます。

これらの症状は、必ずしも更年期と関係なく起こる場合もありますが、のぼせやバーッと汗がでるなどの症状は比較的女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏に関連することが多く、ホルモンを補充するような治療をお勧めする場合があります。ホルモン補充以外にも漢方薬の使用など、症状をやわらげるような治療もあります。

ホルモンの補充は一般的には、閉経直後を中心とした症状の強い時期に行います。乳がん検診などを受けておくことも必要になります。

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6,妊娠した(かもしれない)、妊娠したい、妊娠したくない

1)妊娠した(したかも)しれないとき

 最近は、ご自分で妊娠反応を確かめてみえるかたも多いですが、妊娠の確定診断には超音波検査が必要です。妊娠反応の感度がとてもよくなったため、妊娠反応がでても超音波で赤ちゃんをいれている袋が見えない時期というのが数日から1週間程度あります。妊娠週数の計算法は、生理がはじまって14日目に排卵がおこっていることを前提としているため、超音波で赤ちゃんが見えない場合には、「実際に排卵したのは14日目よりも遅く、病院にくるのがはやかったのでみえない」「妊娠は成立したが、何らかの理由で正常に進行していない」「異所性(子宮外妊娠)」の3つの場合があります。

妊娠週数は最後の生理が始まった日から数えて280日目を分娩予定日とし、週数で数えます。28日周期で生理が合っている方だと、4週0日が次の生理の予定の日となります。 おおむね5-6週で、赤ちゃんのはいっている袋(胎嚢)がみえてきます。赤ちゃんの心拍がみえるようになるのが7週前後です。8週から11週にかけての赤ちゃんの大きさを計測して、生理から計算した分娩予定日とのずれが大きければ予定日を修正します。そしてその後は母子手帳をお渡しして、いわゆる妊婦健診を開始します。

すべての妊娠の5-10%は流産するとされており、そのほとんどは、赤ちゃんの心拍が見える前におこります。妊娠初期の少量の出血や軽い収縮痛は、特に異常がなくてもみられることがあり、様子をみるだけでよいことが多いです。絶対安静とすることは特にこの時期の流産を防ぐという点では意味がないというのが現在の考え方ですが、過度の運動やお腹に力がはいるような行動は避けていただいたほうがよいと思います。胎児心拍が確認される、また妊娠10週をこえると、初期の流産の確率は下がります。昔から「胎盤が完成する14-15週を超えると安定期」とよくいわれます。流産の可能性は減るものの頸管無力症や子宮収縮を伴う流早産など、メカニズムの違う病気が起きることがあります。特に前回の妊娠で中期流産、早産であったような方は早産のリスクが高い場合がありますので妊娠初期からよく医師と相談しておくことが望ましいと思われます。

現在では、諸種の出生前診断法があり、報道などで取り上げられることも多く、関心がある方も多いと思います。方法も様々で、わかること(わからないこと)も違います。またご夫婦のご心配なことやお持ちのリスクによっても受けるべき検査も違ってきます。いろいろな選択肢について事前によくご相談されることをおすすめします。

妊娠初期に「薬を服用したが、大丈夫だろうか?」とお尋ねいただくこともよくあります。実際には問題がないことが多いのですが、やはりご心配になる方も多いと思います。調査可能な範囲で情報を提供し、さらには国がおこなっている「妊娠とくすり」相談事業などへのご案内も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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2)妊娠したい(妊活を考えている、希望しているのになかなか妊娠しない)

 妊娠をご希望になっているのに、なかなか妊娠しない方もおられます。避妊なく性行為があるのに1年間妊娠しない状態を不妊症といいます。不妊症の治療は古典的な方法から、いわゆる最新の生殖補助技術を使用した最先端の治療まで幅が広く、どのような治療を選択し、どれくらいのスピードでステップアップをしていくかは、ご夫婦のご年齢やライフスタイル、考え方によって異なり、正解があるわけではありません。

とりあえず妊活デビューというような場合には「タイミング法」からおはじめになるのがよいと思います。基礎体温をつけていただき、排卵日にあわせて性行為をもつという方法です。排卵日を予測する試薬などを併用する方法もあります。排卵が起こっていない場合や不規則で予想しにくいような場合には何らかの治療です。また、卵管が詰まっているような状態も不妊の原因となりますが、卵管造影という検査をするだけで卵管が通り妊娠することもあります。産婦人科医の多くが「不妊症で検査だけしたら妊娠された」という経験します。不妊症の方はもちろん、妊娠について不安がある方やお悩みの方、ブライダルチェックをご希望の方も一度ご自身の状態をチェックするよう、受診されてみてはいかがでしょうか。

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3)妊娠したくない(安全でより確実な避妊をしたい、無防備なセックスをした)

避妊にもいろいろな方法があります。今、一般的な避妊法としては(男性用)コンドームとピルがあげられます。ピルは女性が主体的にコントロールできるという利点があります。 低用量ピルが使えるようになり、副作用も減りました。しかしごくまれですが、血が固まりやすくなってエコノミークラス症候群のような血栓症がおこるようなことがしられており、定期的な経過観察も必要なので、産婦人科で処方をもらう必要があります。ご希望があれば、ご相談ください。このほかに子宮内に器具をいれるような方法もあります。ご年齢やライフスタイルで、おすすめできる避妊法もそれぞれですので、まずはご相談いただければよいと思います。

ただ、どのような避妊法もパーフェクトではありません。またコンドームを使用していたのに破れたなどのアクシデントも起こりえます。避妊だけでなく感染症のリスクもありますので、ピルとコンドームの2つの避妊法を組み合わせて使用することが望ましいと思われます。

モーニングアフターピル(緊急避妊)

たまたま避妊しなかった、あるいはコンドームがやぶれていたなどで、妊娠が起こりやすい時期に無防備な(きちんと避妊できていない)セックスをしたというような場合にはモーニングアフターピル(緊急避妊)という選択肢があります。性行から72時間以内に服用開始すれば、服用した方の97%は妊娠しなかったという報告があります。ご心配があればご相談ください。

文献
産婦人科診療ガイドライン 産科編2014年版
産婦人科新郎ガイドライン 婦人科外来編2014年版
産婦人科研修の必修知識2016年版

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